南から上がってくる桜の群れ。北の方は、まだかすかに残る重たい雪雲をひきずりながら、それでも着実に近づいてくる春の香り。
大地の下からむくむくと起き上がってくる芽ばかりではなく、少しずつ短くなっていく「ゆさり」が季節の往来を教えてくれます。
冬の「ゆさり」は長くて静かだったけれど、春から夏にかけては風や虫の音が鳴り響き、あっちこっちで忙しい命の音がする。そんな賑やかで短い「ゆさり」が待ち遠しい、春の始まり。
お国ことば解説
ゆさり:夕方、 夜になったころ、夜の意味。「さり」は「去る」の連用形で近づく、来るの意味の動詞。