「“編集”って、なんだ?」。
この仕事をはじめてから、わたし(灯台もと暮らし編集部・立花)は、ずっとこの問いについて考えています。
「“編集”って、なんだ?」という問いかけは、大学時代に一メンバーとして「灯台もと暮らし」を立ち上げて走り出してからというもの「編集者です」と名乗る日々の中で、常に頭の片隅にありました。
「わたしは本当に編集者なのかな?」と自信がなくなって落ち込んだことも、あります。
仕事に自信がないというよりは「編集」という言葉がわたしの固定観念以上に拡張し、多様な捉え方をされるようになっていったから。
デスクにかじりついて、紙面のデザインをあれこれ練り上げ文章を書き、カメラマンを従えて写真の画角に適切な指示を出し、記事をつくり上げる──わたしにとってそんなイメージだった“編集者”像は「灯台もと暮らし」をはじめて、すぐに消え去りました。
──否、消え去ったというと語弊があります。
「編集」の世界はわたしの想像を超えて、原稿の中やデスクの上、パソコンの画面の中から飛び出し、もっと大きく広がっていたのです。
がむしゃらに走り出したわたしは、初っ端からその大宇宙へポーンと放り出されたような心地でした。
いまはひとの数だけ解釈が可能な、多様な仕事になっていると感じます。
そんな中で、「“わたし”は編集ってどんなものだと考えているんだろう?」と自問自答し続けていました。
今でも、その答えは見つかっていません。
ある日ふと、「編集」を英語で表す「edit」の語源を調べたことがありました。
すると“e”は“外へ”の意味、“dit”は“与える”という意味を持つということが分かりました。
外へ与えるひと、それが“editor”、つまり“編集者”。
わたしの中での「“編集”って、なんだ?」という問いに対するひとつの答えを見つけた瞬間でした。
けれど、字面だけなぞっても仕方ありません。
「外へ与えるひと」ならば。
一体何を?
誰に向けて?
どうやって与えるの?
暮らしの拠点を東京から北海道に移して1年経ったころ、わたしは「外へ与えるひと」として、“編集”という技を使うにはどうすればいいかを考えるようになりました。
【遠い森の町で“編集”を考える】は、わたしが北海道下川町へ移り住んでから一人で悶々と考えているひとり言のようなものを、ぽろっとこぼす連載です。
視界からはみ出るくらいの空の下、目まぐるしく変わる北海道の大自然に生かされながら、「“編集”ってなんだろう」という問いから始まったひとり言を、こっそりと、お届けしたいと思います。
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