東京都世田谷区にある駅・松陰神社前に“ロッタさん”の愛称で親しまれる「café Lotta」はあります。“ロッタさん”の生みの親・桜井かおりさんの、ロッタで過ごす日々のことを書いていただく連載「ロッタのこと、私のこと」。
今回は、お母さんとして、「café Lotta」のママとして、一人の女性として、日々の暮らしをご機嫌に過ごす心持ちを、教えていただきました。

ロッタをつくった30代。

まだ小さかった子ども達の育児と仕事の両立に必死で、不安でした。

スタッフへの声がけは正しかったのだろうか? 
今日のお客様は満足していただけたのだろうか?
また来てくださるのだろうか。
育児が手抜きになったりしていないか?

そんなふうに、毎晩ベッドの中で考え、落ち込んでいました。

かわいそうに、あの頃の自分……がんばっていたのに。

必死の30代は嵐のようにバタバタと過ぎ 迎えた華の?40代。

やっとこさ、余裕が出てきました。息子達が中学生と小学生になって少し手が離れたことが大きかったのかな。

あとは何と言っても常に素晴らしいスタッフに恵まれ、関係が良好だったことが一番です。安心してお店を任せることができ、私は以前からやりたかったパリでのお仕事(ラテアート)を受けられるようになったのもこの頃から。

仕事と育児と、プライベート。

この3つのバランスがリズムにのって、いい意味で自分に甘くできるようになりました。

10年お店が続くと、自信もちょっぴりついてきて、以前のようにいちいち悩まなくなりました。いやっ、図太くなって悩めなくなったという表現が正しいかもしれないな。

「もし一日の終わりはダメダメでも 週単位で考えてまぁまぁだったらそれでいいんじゃないかな」。

50代の今はそう思えます。時間の使い方も、上手になりました。

今でも仕事が大好き。
友人たちとの楽しいお酒が好き。
カウンターでマスターとおしゃべりしながらひとりで飲む時間も好き。
外で食べる朝食が好き。
甘いものが好き。
旅が大大大好き。
家族と過ごす普通の時間も好き。

今は「好き」をいっぱい楽しんでいます。
それがわたしにとって“ご機嫌に5日間仕事をする”、秘訣です。