待ちに待ったゴールデンウィーク。どこへ行こう? 何をしよう? と胸踊らせているひとも多いかもしれません。
ゴールデンウィークは、それぞれお休みに入るもとくら編集部。大型連休を目前にして、これまでに取材した「宿」の話に花を咲かせてみました。あなたの好きな宿の話は、さてさて出るでしょうか……?
古いと新しいが同居した、東京で一番小さい古民家ホテル「BAMBA HOTEL」
佐野知美(以下、佐野) 今週末からついにゴールデンウィークですね。唐突ですが、宿の話なぞ振り返ってみましょうか。
タクロコマ GOGO!
佐野 くいしんさん、印象に残っている宿、ありますか?
くいしん(以下、くい) 僕は2016年3月まで、イチ読者、イチもとくらファンでしたからね。では読者代表として。
えっと、【東京都品川宿】の、ゲストハウス「BAMBA HOTEL」(バンバホテル)は行ってみたいなぁー! と思いましたね。
佐野 記事を書いたのは、実咲さん(立花)ですね。取材に行ったのは、こまつさん(タクロコマ)、実咲さん・佐野の3人?
立花 ですね! 書き手としては、くいしんさんがなぜ「BAMBA HOTEL」が印象的だったのかを知りたいです! わくわく。
くい なんですかね。まず、品川という言うなれば都会のどまんなかで、こういった雰囲気を味わえるのか~という「味わってみたい感」を覚えました。
立花 こういった雰囲気、とは。詳しくください。
佐野 珍しく実咲さん、食い気味ですね(笑)。「BAMBA Hotel」さんは、おしゃれでしたよね。一棟貸切スタイルで、長屋を改装した「東京で一番小さい古民家ホテル」を謳っていらっしゃる。Wi-Fiも完備だし、Waseiの合宿をここでしたいねって話した記憶があります。
タクロコマ うんうん。
くい 畳、壁、家具、お風呂などなどの……雰囲気、です(笑)。古いものと新しいものが同居しているところに惹かれたんだと思います。古いものを質素な印象ではなくて、上手い具合に現代に馴染むように、細部まで気を遣ってリノベーションされたのだろうなって感じて。
立花 内装を手掛けたのが「ハレルヤ工房」さんという、同じ品川宿の女性だというところもよかったですね。
佐野 じつはもとくら編集部で【リノベーション】特集的なものを考えていた時期があって、「BAMBA HOTEL」さんはその頃から名前が挙がっていたんですよね。玉井さんにお会いしてお話をうかがえたのも、私としては印象的でした。
立花 運営元の「宿場JAPAN」の渡邉さんは、訪日の分野でもかなり先進的な取り組みをされている方。この方のインタビューもぜひ一緒に読んでほしいですね。
佐野 渡邉さんには、【東京都品川宿】特集で出会ったあとに組んだ【訪日外国人観光客対策】特集でも、とてもお世話になりました。
泊まれば、もうひとつの我が家になる。「他郷阿部家」
佐野 じゃあ、実咲さんはどうですか?
立花 島根県の「他郷阿部家」! です!
タクロコマ 最高でした。
佐野 2人とも即答(笑)。いやでも、本当に最高でしたね……。一緒に行ったので分かりますが、一応聞きます。なにゆえですか?
立花 うーん……真面目に答えますと、途中なところ、未完成なところが私は好きでした。たとえばふすまとかも、たてつけが悪くてガタガタするところがあるんですが、ひとの手でゆっくりと直されていて、とにかく建物全体から、キレイに大切にされているなということを、すごく感じました。
いわゆる、素材や設備で清潔感が確保されているのとは違う……ひとの手でキレイになっていくような。
タクロコマ たしかに! キレイすぎないのに、清潔感がすごくありましたよね。
佐野 うんうん。あとは私は、群言堂の思想を伝える具現化された空間がある、という事実に感動したなぁ。多分群言堂の思想って、ことばや、ブランドの製品だけではもしかしたら伝えきれない部分があって。
でも、「他郷阿部家」があって、登美さんがそこに住みながら改修を重ねて、たくさんのひとと暮らしが行き交って。時間とお金と気持ちをかけて具現化した「そこに入れる群言堂の世界観」が、触れるものとして実在しているということに、もうなんか、ものすごく圧倒された……。
タクロコマ 「他郷阿部家」の改修を手掛けた楫パパ(楫谷さん)の記事は、鳥井さんも好きだって言ってたなぁ。
僕も、大好きな場所でした。「他郷阿部家」では、毎晩泊まってくれたひとと一緒にごはんを食べながら対話をする文化があるんですよね。今日も、きっと素敵な出会いが生まれているんだろうなぁ……。
くい そうなんですね。僕は島根県にも行ったことがないし、正直なところ、群言堂ももとくらの記事を読んで初めて知りました。なので、「他郷阿部家」というよりも群言堂の存在自体に驚いた……という方が、感想としては近いですね。しかしとにかく写真がきれいでした。
タクロコマ えへへ。
立花 これは裏話ですが、他郷阿部家の記事は、見習い女将である大河内瑞さんの記事を書いているうちに1本きちんと書く必要があると感じて、あとから追加した記事なのですよね。はじめから書こうと決めていたわけではなく。
佐野 あぁ、そうでしたね。大前提すぎて、記事配分を忘れてしまっていた(笑)。
くい へぇ!
立花 また行きたいですね……。
ぼくのおばあちゃんの暮らしに似ていた。星空が美しい「古屋弥右エ門」
佐野 こまつさん(タクロコマ)は、印象に残っている宿とか、いちおしの宿、あります?
タクロコマ 【岩手県遠野市】特集の、「こやさん」ですね!
佐野 お、「こやさん」!
立花 「こやさん」!
くい 「こやさん」とは?
佐野 築180年の古民家を改装した、「古屋弥右エ門」さんですね。こちらでは民泊というか、古民家宿泊体験ができます。山田さんがご夫妻で運営されていて、この建物で実際に暮らしながら建物を守っていらっしゃるので、知り合いを通じた紹介が基本。すべての方が泊まれるわけではないのですが……素晴らしい場所でしたね。
私たちは、伊勢崎さんご夫妻に紹介していただきました。
タクロコマ こんな場所で暮らしたい! と純粋に思いました。広さもちょうど良かったですし、暮らしぶりも、ぼくのおばあちゃんに近かった。なんだか、親しみやすさがあったんです。
具体的にいうと、部屋が細かく分かれていないところ。おっきな畳の間で寝れるのが良かったです。暗くなくて安心できた。隣の川でホタルがたくさん見られて感動しました。そして、天の川がものすごくきれいでした……!
佐野 こまつさんと恋が生まれそうなくらい、キレイでしたね。
立花 星空は足がすくむくらいでした。ちろん建物も立地条件も素晴らしかったのですが、運営者の山田さんご夫婦が、私は一番魅力的に感じましたねぇ。お互いの尊重し合っている姿、言葉はいらない信頼関係……いいなぁと思いました。もっといろいろなお話をじっくりとうかがってみたかったです。
佐野 「こやさん」は、2015年の5月に私が遠野にひとりで遊びに行った時に初めて泊まらせていただいて。惚れ込んでしまって、ここは絶対にもとくら編集部のみんなで来たい! と思った場所だったので、2015年7月にそれが実現してうれしかったな。
でも、振り返ってみると、これも実咲さんが書いていますね。じつは私の中では、古民家担当は実咲さんなんです。だから、確信犯(笑)。
立花 (ほんとだ、古民家の記事はみごとに私が書いている……。記事の割り振りは佐野さんが決めることが多いから……。)
島の今とこれからを、ずっと見つめている。「なかむら」
くい さてでは、佐野さんの話も一応聞きましょうか。
佐野 (笑)。【島根県海士町】から、島のお宿「なかむら」さんですかねぇ。
佐野 宿のクオリティ云々というよりも、中村さんの心意気のかっこよさと、お話の鳥肌立つ感がすごくて。あと、「俺でさえ、たまには信号を渡りたい衝動にかられることがあるんだよ(笑)」という言葉がすごく……良かった(笑)。
タクロコマ 中村さん、とてもかっこよかったですね!
佐野 あとは、もう一つお気に入りを出しちゃうなら、【岩手県遠野市】の「遠野ゲストハウス」。
立花 そういえば、この4月に佐野さん、遠野に再び取材で行ったんですよね。進んでいましたか?
佐野 はい。まだ完成していないから現状、宿泊は難しいけれど、このゴールデンウィークにも「綾織に春が来たよ。ガッツリセルフビルドWEEK」というイベント兼改修工事を実施されるようです。
くい なるほど。全体的に、未完成というか途中経過が魅力、という意見が多いみたいですね。もとくらと、一緒なのかもしれませんねえ。
立花 そこで暮らすひとがいてこそ、完成するようなところに惹かれるのかもしれません。ひとを含めて、の宿というか。
タクロコマ その点でいうと【高知県土佐町】特集の、「笹のいえ」もそうでしたね! 渡貫さん大好きです。
くい あと本当にみんな、取材したひとのことが大好きになって帰ってくるんですね……。
佐野 もとくらをやっていると、好きなひとや場所がどんどん増えていくんですよ(笑)。お気に入りの宿、ぜひもとくら読者の方にも、訪れてみていただきたいですね。
おしまい