したたかな妖精を見たことがありますか。彼女は決してチャンスを逃さない。
ブナやミズナラたちが葉をつける前の明るい林床で、光合成をして球根に栄養を蓄えるカタクリは、葉や茎も含めて地上に姿を見せるのは約5週間、開花期間は10日ほどしかありません。そんな理由から「スプリング・エフェメラル」「春の妖精」と呼ばれています。
淡い紫色のカタクリが持つ花言葉は「初恋」。私には、うつむきがちで、もじもじしている彼女の様子が目に浮かびます。
しかし慎ましい妖精のような姿とは裏腹に、したたかな生存戦略を練っているのです。落葉樹の葉が森を覆う前のライバルの少ない好機に、繁殖と光合成をする。その後はさっさと地中に隠れて休眠してしまう潔さも持っています。
チャンスは最大限に活かす、それが彼女の主義。カタクリはきっと、仕事でも恋愛でも、そつなくこなすタイプでしょう。小さい紫色の容姿は侮れませんね。
長野県戸隠ではカタクリの花が咲きはじめました。したたかで潔い彼女たちに、チャンスをつかむ勇気をもらった気がします。
このお花のこと
名前:カタクリ
種類:ユリ科カタクリ属
開花時期:3月下旬~5月上旬
花言葉:「初恋」「嫉妬」「寂しさに耐える」