高知県嶺北地域・土佐町の暮らしを届ける「今日の一枚」。神奈川から移住した鳥山百合子さん一家の、今夏の出来事を綴っていただきます。

家から5分のところに美しい川が流れていることは、暮らしをゆたかにしてくれている。子どもたちの夏の遊び場はもちろん川。子どもたちは、そうせずにはいられない! というように次々と飛び込んでいく。

うわあ! いいなあ!

目の前であんなに気持ちが良さそうな子どもたちを見ているだけなんて、もったいない。私も飛び込もう!だって、沈下橋から川へ飛び込むのは憧れだったから。

いざ飛び込もうとするとやっぱり怖かった。恐る恐る橋の上から川をのぞき込む。川底が見えるほど透き通った水。多分深さは2メートルくらい。怖い。でも川が呼んでいる。

よし! 行こう!

助走をつけて橋を蹴って飛び込む。

ドボーーーーーン!

耳元でコポコポコポコポ……という音がする。小さな魚たちが私の目の前を泳いでいく。

やったあ! 飛び込めた! やった!

水面から顔を出して泳ぐ。ああ、なんて気持ちがいいんだろう。

それから私は何度飛び込んだだろう。(次の日の筋肉痛はなかなかのものだった)

橋の上に腰かけながら川の水面をぼうっと眺める。水は岩と岩の間をすり抜けていくことに初めて気がついた。山の透き通った水たちが、金色に揺らめきながら水面を輝かせる。この風景を大切なひとたちに見せてあげたいと何度思っただろう。

今年の夏、私は沈下橋から飛び込んだ。
大げさかもしれないけれど、それは私の人生のなかでのかけがえのない出来事。

非公開: 土佐町の暮らしを知る「今日の一枚」