2017年5月から「灯台もと暮らし」編集部の立花は、北海道下川町という人口約3,400人の町へ移住しました。そこでの日々の暮らしの一部を切り取る「下川町日記」をお届けします。

「この前、森を購入したんだけれど、見てみる?」

下川町で暮らす、木工作家さんに声をかけていただき、森の中へ連れて行っていただいた。

木でものづくりをする方々にとって大事な素材となる森が身近にある環境は、この上ない贅沢であり喜びだということ、わたしはつい最近まで全然知らなかった。

楓

ものづくりをしていても、その素材がどこでどんなふうに大きくなった木なのか知らないという作家さんもいるという。何を大切にするか、何にこだわるかはひとそれぞれだけれど、作家さんが木や森と会話しながらつくる作品は、まるで生きている木の分身のよう。

時間に乗せて変わる森の緑や土の乾き、陽の光の入り具合や木皮の質感がそのまま作品に濃縮された、新鮮な森からの贈り物だ。

わたしが木のうつわや雑貨が好きなのは、もしかしたら素材となる木が生きものだからかもしれないと、森を見上げながら思う。