東京都世田谷区にある駅・松陰神社前。一両の電車が運んでくれるその小さな町に「café Lotta」はあります。“ロッタさん”の愛称で親しまれるカフェは、2017年3月に満を持して喫茶店にリニューアル。“ロッタさん”の生みの親・桜井かおりさんの覚悟を聞いた編集部は、その胸に秘めたる熱い想いや、ロッタで過ごす日々のことを書いていただくことにしました。新しくなった“ロッタさん”で巻き起こる、忙しくも愛おしい日々のできごと。はじまりはじまり、です。

はじめまして。世田谷の松陰神社前商店街で、たった10席の小さな喫茶店「café Lotta」(以下、ロッタ)を営んでいる桜井かおりです。

ロッタのこと、わたしのこと。

日々お店を営むなかで、考えていることや感じていること、いつか書き出してみたいな……と思っていたところ、この連載のお話をいただきました。

ロッタの一日のはじまりは

わたしとロッタの1日は、パン屋さんに寄るところから始まります。焼きたてパンを抱えて、開店時間の2時間半前には出勤。一晩閉め切ってムッとよどんだ空気を入れ換え 掃除機をかけ 窓をていねいに拭きます。

次に、トイレ掃除。トイレ掃除は特に時間をかけます。お客様の立場になった時、トイレがきれいだと「さすが!」と感じたり また逆に残念に思ったり。トイレはお店の印象を左右する、大事な場所なんです。

cafelotta

ロッタは2001年にオープンして、今年で16歳。ですからどう頑張っても新品のトイレのようにピカピカにはなりません。最新の設備も付いていません。座ると、ひやっと冷たいです。古いトイレではあるけれど、床のタイルは毎日拭きあげています。そして最後に自宅でも愛用しているサンタ・マリア・ノヴェッラのアルメニアペーパーを焚いて、トイレ掃除は終了。

その日の服に合わせてエプロンを選んで紐をぎゅっと結んだら、いよいよキッチンの準備。

手の消毒をしたらガスオーブンを点火して、大小のポットでお湯を沸かし、お客様のための白湯をつくります。

つねに「小さなお店だからこそできることは何か?」と考えています。そのひとつが白湯。

白湯

そしてエスプレッソマシーンに豆を補充し、スイッチを入れ、同時に昨夜焼いたケーキの味見。

ひひっ。16年続いてる、おいしい仕事。

冷蔵庫と冷凍庫の中を整理確認して、本日のメニューを書き、最後にテーブルを拭き、店内を、よし!よし!とひとり指差し確認して、最後に地元の豪徳寺の招き猫に「今日も頼むよー」と手を合わせたら、やっと開店です。

小さなお店でも、お客様をお迎えするひとつひとつの作業をていねいにすると、2時間は必要です。バタバタはいや。その日一日がバタバタになっちゃうから。

まっすぐな気持ちでお客様をお迎えするのも、接客業としてとても大切なことだと思っています。

cafelotta

このお店のこと

café Lotta
住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12
電話番号:03-3428-1126
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日、木曜日
Instagram:@kaorilotta