道端の雑草も、きれいに整えられた花壇も、少しずつ春の気配がする。
にぎやかになってきた、芽吹きの季節に思わず土の道をスキップ。季節が巡るのはいつものことなのに、毎年違う季節を味わっているよう。
そんなことを考えつつ、うわの空でスキップしていたらずるっと転び、膝小僧には血がにじんだ「きっぽ」。
大人になって転ぶなんて恥ずかしくって、どういう顔をして立ち上がればいいかわからなかったけれど、昔は体のあちこちに「きっぽ」をつくって遊びまわっていたなと思い出す。
あの頃の無邪気さを、一瞬でも思い出すことができたから、きっとこの「きっぽ」も捨てたもんじゃないはずだ。
お国ことば解説
きっぽ:山口県の方言で「傷跡」を指す。重傷より、切り傷やかすり傷など、軽いものを指すことが多い。