こけしの基本形は、円筒の胴体に丸い頭部が乗った、シンプルなシルエットです。
けれどこのこけしは、子どもをおんぶしている「子守こけし」。正規のこけしである、伝統こけしを作っていた工人さんたちが、こけし業界に新風を巻き起こすべく、一時期流行の形として、多く作られました。
そういえば子どもの頃、眠くて駄々をこねたり、ついうとうとしてしまったりしたとき、お母さんがおぶってくれたなあ、と遠い昔に思いを馳せます。
温泉街のお土産品でもあり、子どもの遊び道具でもあったこけしは、子どもをあやすのに活躍する、お母さんたちの強い味方だったのかもしれません。
このこけしのこと
子守こけし
作:梅木直美