1983年から続く「IKEUCHI ORGANIC株式会社」(以前の社名は「池内タオル株式会社」)。
その歴史の中で、代表に次いで長い19年(2017年時点)という社歴を持つのが、今回お話をうかがう橋田さんです。またそれに近いキャリアで、ベテラン職人である阿部さんにも一緒にお話をうかがいました。
おふたりは前職のときから同じ会社で働いていました。日本のタオル業界の中で多く発生していた中国への生産移転のため、ふたり揃って中国へ飛び、工場の立ち上げを行ったのです。
仕事上の息はピッタリ、と思いきや橋田さんは照れくさそうに「腐れ縁なだけだから」と笑います。仕事のパートナーとして、会社を移っても共に仕事をするというのは、仕事仲間のひとつの理想だなと感じます。
40年以上のお付き合いになるというおふたりの、これまでの道のりと、タオルやオーガニックに対する想いを聞いてきました。
橋田 文雄(はしだ ふみお)
生産技術部部長。1998年9月入社。通年では最も社歴が長い。好きなIKEUCHI ORGANICのタオルは、季節によって変わるが冬場なら「オーガニック316」。
阿部 誠司(あべ せいじ)
生産技術部。1998年入社。IKEUCHI ORGANICベテラン職人のひとり。社内では「あべやん」の愛称で呼ばれている。
どんな仕事をしているか
── まずはおふたりがどういうお仕事をしているのか聞いてもよいでしょうか。
橋田 僕らは生産技術部に所属しています。今うちの会社は世代交代があって、まだ若い子の技術が伴わないから機械の稼働に関することを教えたり、手助けしたり。3年前くらいまでは僕ら中心でやっていたんだけど、今はひとつひとつ次の世代に代わってやってもらっていますね。
── 全社員さんの中で、橋田さんが一番社歴が長いとうかがいました。
橋田 通年では僕が一番長いですね。菊川くんがね、出入りがあるから、僕より会社の古い時代を知っているのは彼なんだけど。通年で続けている中では代表の次に長くなっちゃった。
── 阿部さんもタオル職人のキャリアは長いんですか?
阿部 長いですね。僕は工業高校で、紡織、織機を3年間勉強しました。織物組織とか、諸々の工程はそこで習いました。
学校を出て、最初は大阪のセーターの会社に入ったんですね。セーターの会社に入って6年くらいおって、そこを辞めたときに今治に戻ってきて、最初のタオルの会社に入りました。そこからはタオル一筋です。前の会社でふたり一緒になって。
橋田 僕は前の会社で初めてタオルを始めたんだけど、そこから腐れ縁で今まで続いてるんです。
前職ではふたりで中国工場を立ち上げた
橋田 ふたりで中国に行って工場も立ち上げてきたしね。
── おふたりで?
橋田 そうそう。何もない中、手探りでいろんな仕事をしたので、なかなか刺激があったね(笑)。
その経験があるから今の自分がある。前の会社の経営者にはものすごく感謝しています。僕らより上の人がいっぱいいて、僕らはまだ中堅だったのに抜擢してくれたから。会社の存続をかけた仕事に携わったことによって、仕事をする上で自信がついたというのもあるよね。
── 前職からIKEUCHI ORGANICに入るときは、どういうきっかけがあったんでしょう。
橋田 中国から帰ったときに、前の会社から全工場を中国に移すという動きがあって。そのとき僕は家庭もあったし、子どももいたので、中国へ移住するわけにはいかないなと考えて。
どうしようかと思っていたら、IKEUCHI ORGANICに出入りしていた業者さんと前の会社に出入りしてる業者さんがまったく同じ業者さんで。その方がここを紹介してくれました。
── 阿部さんも同じくですか?
阿部 理由は同じ。で、こちらに引っ張ってもらって。
40年以上一緒に仕事をしているおふたり
── それは橋田さんが一緒にやろうと誘ったんですか?
橋田 そう。中国に行く前から、腐れ縁みたいな感じだったんですよ。前の会社で、同じ社宅に入っていて。ずっとつながってるよね。もう40年の付き合いですよ(笑)。
── へぇー、すごい!
橋田 20か21歳くらいの頃からかな。間に、離れてるときもあるんだけど。でも、仕事が終わってから遊ぶとかっていうのはほとんどない。ゼロに等しいくらい。会社で会うだけ。おもしろいやろ(笑)。
── おもしろいし、うらやましいですよね。仕事の息がバッチリ合ってるってことですよね。
橋田 うーん……。
── そういうわけでもないんですね(笑)。
橋田 うん(笑)。そういうわけでもなく、単に腐れ縁ですよ。彼が独り身のときに僕は家族があって子どもがあって。僕が子育て片付いて奥さんが亡くなったときに、彼は結婚して子どもが生まれて。立場もぐるっと逆転しました。
仕事上では、ケンカもするんですけどね。どっちかっていうと俺が押し切るけど(笑)。
── 衝突したりするっていうのは、仕事上のこだわりですか?
橋田 そうですね。考え方はひとそれぞれ違うし、重きを置いているところも違うから。僕の場合は段取り重視、彼は職人気質なんですよ。
阿部 こだわっているところが違う。昔はね、上の人って、技術を教えてくれんかったから。「お前ここ知っとるか?」「知らんか」「ほんならこっち知っとるんか?」ってふたりで夜な夜な勉強していた。でも、同じことを一緒に学んだはずなのに、ふたりとも気質が違うからこだわるところが変わってくる。
橋田 彼みたいな人間は朝から晩までずっと機械を触っているのが楽しいタイプ。僕はマネジメントのほうが向いていると思うから、全然違うんですよね。
オーガニックだから商品がいいわけじゃなくて、その過程にこだわっている
── タオルについてもお聞きしたいのですが、やっぱりIKEUCHI ORGANICと他のタオルは、全然違いますか?
橋田 違うと思います?
── 僕は違うなって思いました。
橋田 そうやって言ってもらえることはありがたいんやけど、僕らから言わせたら、綿は綿なんよ。同じ糸番手で同じ長番手(おさばんて)でつくれば、どこの会社が織っても同じなんよ。「オーガニックだからこう違う、オーガニックじゃないからこう違う」というのは、本当はないんです。完成品の、タオルそのものとしてはね。
うちが最も大切にしているのは、オーガニックだから商品がいいとかいうんじゃなくて、その過程なんですよ。「オーガニックでつくる」というのがどういうことかと言ったら、農家を守ったり環境負荷をなくしたり、ということですよ。
タオルでも厚手が好きな人、薄手が好きな人、軽いのがいい、重たいのがいい、ってみんな好みが違うでしょ。「うちがつくっているものが一番いい」とは思いませんよ。それは使う人の好みの問題です。
オーガニックだからいいとかオーガニックじゃないから悪いじゃなくて、オーガニックをつくり続けることが、地球環境や農家さんの助けになるかが大事なので。それをうちは頑なに推進しようとしているわけです。だから種に至るまで「遺伝子操作は使いません」と言っているんですね。
それはでもね、池内代表が言っているコンセプトもよく聞いていくと、やっぱり「過程」なんよね。過程にこだわることによって、いいものができるっていう話。
── 阿部さんはオーガニックを扱うことについてどう考えていますか?
阿部 私はとにかく機械を触るのが好きやったから。素材というのはあまり関係ないかもしれない。今はやっぱりひとと話す仕事が多いのでね……それはじつはちょっと、苦手なのはありますよ(笑)。
橋田 そもそもね、僕らの世代では、タオルが好きでタオル業界に入るひとってそう多くないんですよ。みんななぜやるのかって、それは地場産業だからです。我々の世代でこの業界に入ったひとは、絶対に食いっぱぐれがなかったですよ。たとえ勤め先の会社が潰れても、なんぼでも他にあるわけよ。僕らの頃は会社を転々と、変われば変わるほど給料が上がったんですよ。
橋田さんの思う池内代表がオーガニックを選んだ理由
── 橋田さんとしては、「(IKEUCHI ORGANICの前身の)池内タオル」から、今のようにオーガニックにとことんこだわる会社に変わっていったことは、どんなふうに捉えていますか?
橋田 今治には、僕が始めた頃には500社くらいのタオルメーカーがあったんですよ。それが今は100社くらいになったのかな。それは、問屋さんがほとんどなくなってしまったからなんですね。
今治はもともと問屋商売で、たくさんつくって、つくっただけ卸せば、それで儲かっていたんですよ。その問屋さんがなくなった今、各会社がつくるものは、特徴のないものではまずいわけよね。
自分の会社が生き残っていくために、いろんなタオル会社が自分のところの色を出したかったんです。その色がうちは「オーガニックである」ということ。
いろんな会社がプライベートブランドを前に出してきた中で、池内代表はオーガニックを選んだわけですよね。そういう経緯があるからこそ、より濃くオーガニックであることを前面に出していかないといけない。そこで出てきたのが100%オーガニックだと思うし。「赤ちゃんが食べられるタオル」を含め、これから先にどこまで行くのかというのもあるんだけど(笑)。
でもね、そうやって、ひとつにこだわってやっていくってのは素直にすごいなと思いますよ。僕はその中で、できる限り、自分たちが持っている技術を伝承していきたいなって考えています。
(この記事は、IKEUCHI ORGANIC株式会社と協働で製作する記事広告コンテンツです)
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