江戸っ子気質なんて言うけれど、少々喧嘩っ早いのはご愛嬌。それくらい威勢がいいのがちょうどいい。
なんでか彼らの使うことばにはリズムがあってチャーミング。罵倒されてもそれが愛情ゆえかも、と過剰に勘ぐるのはきっと言葉の音のせい。
目をグリンとひん剥いて、口を突き出して言う町人の挿絵とともに「べらぼうめが」と言うセリフをどこかの美術館で見つけたことがあった。それはたしか葛飾北斎の挿絵展。彼が目にした江戸町の人々は、威勢よくまくし立てていたに違いない。きっとそれが本当に「とんでもなくバカなこと」であったとしても「バカみたいにあきれた笑えること」だったとしても。
お国ことば解説
べらぼうめ:人を罵る時に使う言葉。「べらぼう」は程度が甚だしいこと、普通ではない様子を指す。接尾語「め」をつけることで強意を表す。べらんめえ。