「農業をやるようになったのは、料理をつくるだけでなくて『食材をつくる』という過程まで向き合ったほうが、料理人としておもしろいと思ったからです」

「FARM CAFE orta(ファームカフェ オルタ。以下、オルタ)」のオーナーシェフである羽沢友佐さんが行き着いた料理のおもしろさは、食材を自ら選ぶだけではなく「つくる」こと。実際に自分の畑で育てた有機野菜をオルタで調理し、提供します。

オルタの店内。本棚

オルタの店内。ギネスのポスター

オルタのご飯

有機栽培の食材は身体によいものとして広く人気を得ています。

その反面、無農薬で美味しい野菜をつくるのは手間がかかるし失敗も多く、簡単なことではありません。けれど、オルタで使われている野菜の多くは、羽沢さんの自家製です。

何年も試験栽培を繰り返してつくられた食材を使った料理は、素材の味を活かしたままのとっても優しい味。

オルタのご飯2

羽沢さんの料理に対する想いを聞いた今、筆者・小山内は思うことがあります。

どんな仕事をする上でも、自分にとっての「究極の面白み」に気づくことが、無理なく好きなことに向き合い続けるための秘訣かもしれないということです。

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羽沢 友佐(はざわ ゆうすけ)
1983年生まれ、青森県青森市出身。函館の調理師専門学校を卒業後、札幌のイタリアンレストランに勤務。24歳のころ、青森県七戸町のトマト農家で研修を積んだのち、十和田市に移住。就農し、無農薬・有機栽培を始める。2011年、「FARM CAFE orta(ファームカフェ オルタ)」をオープン。農業家とオーナーシェフとして持続可能なライフスタイルを実現している。

食材を掘り下げていったら農業に行き着いた

もともと北海道でイタリアンレストランのコックをしていた羽沢さんが、自家栽培にこだわりを持つようになったきっかけは、自分の働くレストランと契約を結んでいた農家を訪れたことだったそうです。

「農園を回っていく中で、料理人として素材に対してもっと向き合いたいと思いました。

料理の道でやっていくと決めたときから、いつか自分の店が欲しいなっていうのはずっとあったんです。その時に『どういう形が理想かな』と思ったら、やっぱり高級食材を仕入れて使う方向ではなくて、自分で素材をつくってそれを食べていただくことがいいなと納得しました。

だけど自家栽培は単純な憧れからのスタートだったので、最初は趣味程度に家のベランダで栽培するところから始めたんです。そこからだんだんと広げていって、青森県七戸町のトマト農家で農業研修をさせていただくことになりました」

羽沢さん正面から1

実家は青森県青森市にある羽沢さん。ご自身は長男で、ご両親の面倒をみるのかどうかということを考えた末に、青森県に戻ってくる選択をしました。

青森県七戸町の農家で2年間の研修を積んだのち、研修先のつてで紹介してもらった十和田市の畑で、現在にいたるまで有機栽培にて農業を営んでいます。

カフェ オルタは十和田のひとたちとつくられていった

十和田市にオルタを開いたのは2011年。お店を持つことになった経緯は「たまたま、ご縁だった」と語ります。

オルタは、じつはもともと雑貨屋さんでした。それまでは羽沢さんはお客さんとしてお店を訪れていましたが、閉店の話を聞いて「もったいないから、自分がここでお店をやってみよう」という気持ちになったのだそう。

オルタの店内全体を見渡してる

「だから、オルタは自分ひとりでつくり上げたという感じはしません。十和田のいろんなひとたちに助けてもらって今のお店があると思います」と羽沢さんは言います。

オリジナルな有機栽培法を選ぶのは、野菜の力を引き出すため

オルタの野菜は、無農薬・有機栽培です。

あえて手間暇がかかる方法を選択しているのは、有機栽培であるほうが野菜にとってごく自然な状態で育つと思ったから。土の状態を変えたり、月の運行などにより耕す期間を計ったりという野菜が育つ環境づくりにこだわります。

その有機栽培自体は完全にオリジナルの栽培方法。ゆえに、失敗してしまわないように時期だけじゃなくカルシウムの量や水の量など細かいところまで調整し、野菜にとってベストな条件を割り出していきます。

オルタの本棚2

農業とオーナーシェフはふたつでひとつ、料理人として無理のない働き方をしているだけ

農業を営みながらオーナーのシェフとして働くというライフスタイルは一見、二足のわらじのように思えます。

でも、羽沢さんにとって農業とシェフはふたつでひとつ。忙しいけれど、これが一番理想の料理を実現し続けられる働き方だといいます。

「料理人として嬉しいのは、やっぱり美味しいと言ってもらえたときなんです。でも、コックだけやっていたときと野菜を自分で育てている今の働き方、どちらも経験して思うのは、そこに自分が『食材をつくる』という過程があったほうがおもしろいということ。だから今、仕事をしていていちばんワクワクする瞬間は、旬の野菜で料理を表現することです」と、羽沢さんは笑顔で話してくれました。

笑顔の羽沢さん

料理人・羽沢さんにとっての究極のおもしろさは、テーブルに料理を出すまでの0から100までの過程を試行錯誤してつくり上げること。そして「おもしろみがある」ということが自分にとって、精神的に無理なく続けられる秘訣なんだそうです。

無理なく働く。

これが持続可能なライフスタイルのコツなのではないかと羽沢さんは教えてくれました。そして無理とは、体力的なことばかりではなく、「面白みがあるか」とか「工夫を凝らす余地があるか」ーーつまり、自分の好きを消してしまっていないかということでもあると、筆者は思いました。

野菜に対しても無理なく、自然体で接することを意識していると言う羽沢さん。自然の摂理にあった育て方を現在も模索し続けています。

テーブルコーディネートの写真

素材の味を存分に活かしたプレートたちが、今日もオルタのテーブルを彩っていることでしょう。

自然の恵みとオーナーの食材への愛をたっぷり受け取ったオルタのお料理。十和田で美味しいイタリアンが食べたくなったら、ぜひ立ち寄ってみてください。

(この記事は、青森県十和田市と協働で製作する記事広告コンテンツです)

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