青森県十和田市に、「村をつくりたい」と言っているひとたちがいます。

昨年取材させてもらった、村岡将利(以下、将利)さん率いる株式会社ビーコーズ(以下、ビーコーズ)のみなさんです。

村をつくり、周りにいるひとたち──社員、取引先、友人──が幸せに暮らせるように、その都度、必要だと思うものをつくっていきたい。

ビーコーズはウェブ制作を本業にしながらも、それぞれの得意パートを組み合わせて結成したバンドのようなチームなんです。

株式会社ビーコーズの皆さん
写真左から、高橋拓也さん、村岡将利さん、米田佳介さん

彼らは今年、「なにをやる場所なのか」を決めないままに、「second.」(セカンド)という新しい場をつくりました。

second.とビーコーズの皆さん

本業はウェブ制作。

なのに、どうしてウェブ制作会社であろうとしていないのでしょう。second.をどんな場所にしていくつもりなのでしょうか。

街の人々が集いつつある新たな拠点とビーコーズの皆さんのもとを、ぼくらは1年ぶりに訪ねました。

村岡将利

村岡 将利(むらおか しょうり)

十和田市出身。2016年4月に株式会社ビーコーズを設立し、同年6月に夫婦で十和田市にUターン。

米田 佳介

米田 佳介(まいた けいすけ)

株式会社ビーコーズ デザイナー。second.のロゴデザインなど、ウェブからグラフィックデザインまで手がけている。

高橋 拓也

高橋 拓也(たかはし たくや)

株式会社ビーコーズ エンジニア。村づくり構想に賛同し、ビーコーズに参画。愛称は「たっくん」。

村岡村をつくりたい?

── 将利さん、ここがsecond.なんですね。「村岡村」をつくりたいって、ちらっと風のうわさで聞いたんですが。

将利 そう。……この場所以外にも物件を借りたいなってもう話しているんです(笑)。

村岡将利

── そうなんですか!? second.をつくったばかりなのに、もう次のことを考えているんですね。

将利 うん。second.は、僕がやりたいと思っていることの全部じゃないんです。

十和田でやるべきことはいろいろあって、second.はそれらを解決する手段の1つなので。

── 大きな構想はどのようなものになるんですか?

将利 それが村です(笑)。村をつくりたい。拠点を増やして、みんなに使ってもらいたい。

自分のまわりにいるひとたちが幸せになれる環境をつくりたいんです。

暮らしにまつわるあらゆるものを創ることで、周りにいるひとたちが楽しめる空間をつくっていこうかなと。

だからなんでもやりますよ。シェアハウスとか、宿泊施設、飲食にゲストハウスもつくってみたい。どんどんウェブから遠のいていくんだけど(笑)。

── ビーコーズってウェブ制作の会社ですよね。ウェブ制作会社なのに、どうしてまたそういう考えに至ったんですか?

将利 起業したての1人のときは、村をつくろうなんてモチベーションにならなかったんですよ。

2人目、3人目と仲間ができてようやく、村をつくってみようという気持ちになって。自分の想いに共感してくれるひとを増やしたいから、かも。

「こういう世界をつくったら、おもしろいでしょう? 使ってみて」って。

結局どこで暮らしていくにも、ひとりでは楽しめないと思っています。ひとりでやらずに会社でやる理由って、そういうところです。

second.とビーコーズの皆さん

必要なものは、みんなでつくる

── そう言われると、昨年よりも仲間が増えて3人になりましたね。

将利 そう。ウェブ制作会社をやりたかったら、ぼくらメンバーはウェブ制作ができるだけでいいと思うんです。

でも、十和田でいろんなことをやってみたいから、リアルの店舗を構える新規事業に対しておもしろいと乗り気になってくれる仲間たちですね。

最初はあまり利益を追わないつもりでsecond.を始めたんです。今はやるからには運営費ぐらいは稼いだほうがいいんじゃないかとか、メンバー間でいろんな話をします。

この場をつくらなかったら、こんな話もできなかったなって。

新しいことをやるとこれまでにない視点で考えて、行動したり情報を集めたりできて、すごくいい機会だなって思う。

僕は経営者としての目線で考えることも増えました。

米田 請け負うことはあっても、自社の新規サービスをつくる機会があまりないので、いい経験をしているなと思ってます。

将利 second.の内装をDIYしたときも、2時間くらいで終わるんじゃないかなって思ったんだけど、半日以上かかって。

米田 試行錯誤しながらだったから、そうだね。

将利 こんなにかかるんだ、途方もないな……みたいな(笑)。

米田 おもしろかったよ。インターネットの中だけでいつも完結してるから、そうじゃない経験って貴重だった。

米田佳介さん

「second.」を2歩目を踏み出すきっかけになる場にしたい

── second.は今、どう使っているんですか?

将利 キッチンに電源、Wi-Fiを完備していて、僕らが自由に使っています。

米田 事務所で作業していて煮詰まったときと、天気のいいときはここに来る。YouTubeで音楽を聞きながら仕事をします。

将利 作業できる空間として貸し出したいという話も挙がってるよね。

米田 うん。あとは、みんなで1つのテーマについて考える勉強会もやっています。

初回はウェブデザイナー向けで、デザイナーの交流の場をつくるためにはじめました。

second
(写真提供:株式会社ビーコーズ)

── その勉強会には、どんなひとが集まったんですか?

将利 三沢市とか八戸市とか、同じウェブ業界のひとたちです。十和田市内だけではウェブデザイナーが少ないですし、集まる場所もコミュニティもなかったので。

技術の共有や情報交換をすることで個人のスキルアップはもちろん、県内の技術力を底上げしていきたいなと。

── そうか。ここは自分たちがほしかった場でもあるんですね。

将利 そうです。東京では勉強会やハッカソンなんかが当たり前にあるけど、こっちにはない。

だったらそういう場をつくってしまおうと。そのために拠点は必須ですよね。

地元に帰ってきたからには扉の開かれた拠点をつくりたいとずっと思っていて、ようやく形になってきました。

── ここは暮らしの面でも活用できそうです。

米田 ぼくはよくここに息子を連れてきますよ。この椅子に子どもが座って絵を描いているんです。たぶんうちの息子がいちばん楽しんでsecond.を使っているんじゃないかな(笑)。

将利 そういう使い方、いいと思う。〝今までにない選択肢をつくる〟ことがビーコーズのビジョンのひとつ。

second.があることでひとつの新しい選択肢ができたのは、よかったなと思いますよ。

── じゃあ、さいごに。second.をどんな場にしていきたいですか?

将利 地域に根ざした場づくりは、地元でウェブ制作会社を起業した僕らの、2つ目の事業としてのチャレンジなんです。

だから周りにいてくれるひとたちと一緒に、2歩目を踏み出せる場所にしていきたい。

そんな想いを込めてsecond.を運営しています。

second.とビーコーズの皆さん

 

文・写真/小松崎拓郎

(この記事は、青森県十和田市と協働で製作する記事広告コンテンツです)

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