「東京での仕事はすごく楽しくって、一緒に働いているひとたちも好きで、とにかくおもしろかったんです。
けど、当時は食生活がやばいんじゃないかって思っていて。朝も夜もずっとコンビニご飯を食べていたんですね。
……あーそっかぁ、私の身体って全部コンビニご飯で生成されてるんや……ってことに気づいたんです」
大阪で生まれ育ち、京都で大学生活を過ごした後、就職を機に上京。大手の人材系企業に勤めたものの、「やっぱり京都が愛しい!」と、2年前に京都にUターンし、野菜提案企業「株式会社坂ノ途中」に転職した、松田明日香さん。
居を移し仕事を変えるというと劇的な変化に思えますが、本人曰く、それは「日々のチューニングの積み重ね」。食べることを大切にする暮らし、働き方に少しづつシフトさせてきたそう。
忙しなく働きながら生活していると、ついつい偏ったコンビニご飯生活を送ってしまいませんか?
筆者である僕(タクロコマ)も偏った食生活を送り、体調を崩したことは数え切れないほどあります。
松田さんにとってそれはモヤッとするポイントであり、暮らしを変える「きっかけ」でした。では、どうやって生活をチューニングしてきたのでしょうか? もう少し詳しく、松田さんの過去と現在の暮らしを聞いていきましょう。
松田 明日香(まつだ あすか)
株式会社坂ノ途中にウェブマーケターとして入社。野菜を販売しているECサイトの運営やウェブ広告の運用など、ウェブを通して野菜の販促をおこなうことがメインの仕事。最近は坂ノ途中の野菜を知ってもらうためのなんでも屋に。
(以下、松田明日香)
今、私はウェブマーケターとして働いています。坂ノ途中の売上の多くは個人向けの野菜宅配(ネット通販)で、そこを伸ばそうとしています。
野菜を販売しているECサイトの運営やウェブ広告の運用だとか、ウェブを通して野菜の販促をおこなうことがメインの仕事……だったのですが、最近は坂ノ途中の野菜や農業のことを知ってもらうためのなんでも屋、みたいになっていて。ウェブにとどまらずに仕事をしています。
たとえば「今はこんな旬の野菜があるからウェブショップで売ろう」というような話があったら、農家さんとのやりとりを担当している社員に相談します。
野菜が出荷できるかどうか、出荷場のキャパシティを本社1階の出荷場のひとたちと相談することもあります。
ウェブショップはITにも関わってくるので、インタビューしていただいたエンジニアの田中とか、IT軍団と呼ばれるひとたちとコミュニケーションしたりすることも多いですね。
参考:【京都・坂ノ途中】「何かを積み重ねていく場所をずっと探してた」IT軍団・田中栄一郎(近日公開予定)
この仕事をしていてすごく嬉しいのは、農家さんがつくった野菜やお米が思うように売れていないときに、ウェブショップで商品ページをつくって、一つ目が売れたとき。
「あー、この野菜を欲しいと思ってくれてるひと、ホンマにおったんや」って。楽しくなって、スクリーンショットを撮ってみんなに見せることもありますよ(笑)。
世の中には社会を本当によくしようとしているひとたちがいるんだ──
こんな感じで転職して働いていますが、じつは坂ノ途中のことは大学生の頃から知っていたんです。就職活動をしていたころ何がやりたいのか全然わからなくて、しんどいなって思ってたんですね。
その当時買った『ソトコト』っていう雑誌があるんですけど、2011年度号とかだったかなぁ……。
社会をよくする会社の特集をやっていて、まだ駆け出しだった頃の坂ノ途中と代表の小野さんが載っていたんです。
参考:【京都・坂ノ途中】代表の小野邦彦さん、どうして起業したんですか?
参考:【京都・坂ノ途中】ぬるい共同体はいらない。代表・小野邦彦さんが考える「畑と組織づくりの共通点」
「私はこんなに就活に投げやりになっているけど、世の中には仕事を通して、こんな前向きに社会をよくしようとしているひとがいるんだな。私もちゃんとがんばろう」って、就活を続けるきっかけになったんです。
当時は坂ノ途中に入社しようとは思ってなくて、そのまま就活して大手の人材系企業に入りました。
働くのは楽しかった。でも、私の身体はコンビニご飯で生成されているんだなって
仕事自体はすごく楽しくって、一緒に働いてるひとたちも悪いひとはいなくて、おもしろかったんです。
私が働いていた企業のビルは終電が過ぎてもキラキラしてるので、不夜城って言われています。そこで働いているあいだは朝も晩もずっとコンビニご飯を食べていたんですね。
ある時、私の身体は全部コンビニご飯で生成されているということに気づいて。まずは自分でご飯をつくろうと思ったんです。
そこで当時住んでいた錦糸町にある24時間営業のスーパーに、仕事を終えたら行ってみたわけです。
終電を過ぎている時間帯。なのにひとがたくさんいて、出来合いのお弁当が飛ぶように売れていく。サラリーマンが深夜のスーパーに群がる光景を見て、「あれ、ここはおかしくないか……?」と思って。しかも野菜は魂が抜けてシナッとしている。だったら自分で食べるものからつくってみようかなという気持ちになったんです。
千葉県に畑を借りて野菜を育てはじめました
東京で暮らしはじめて3年目を迎える頃には、畑を借りて野菜づくりをはじめました。マイファームさんという会社の貸し農園が千葉の松戸にあって、会社の同僚4人で借りたんです。
最初はみんな住んでいるところから順番で通っていたんですが、それが思いのほか楽しくて。「もっと畑に近いところに行こう、上野東京ラインも通って一本で通勤できるし!」と、松戸に引っ越してしまいました。
「京都が愛しいかも」って、気づいたんです
平日は東京で働き、週末は千葉で野菜をつくる生活です。そんな日々を送るうちに「私は京都が愛しいのかもしれない」と、少しずつ思い始めました。
京都に住んでいた頃は「京都はひとが多いし嫌だ」と思っていました。でも東京に来てみたら、もっとひとが多い。
東京はおもしろい取り組みがたくさんあったけど、自分がほんとうに心地いいと思えるコミュニティを見つけられなくて、その結果ひととの繋がりが薄い気がしていて。京都は友だちや顔見知りが集う場所がたくさんあるんです。
田舎だけど田舎っぽくないし、ちゃんと新しいものもあるのが京都。
東京に来てそのことに初めて気づいて、坂ノ途中に転職したいと思うより先に、「京都に帰りたい」って思うようになりました。
そんなときに、坂ノ途中の定期宅配を注文しました
京都に帰ろうと思いはじめてから、学生時代に知った坂ノ途中を思い出して定期宅配を頼むようになりました。趣味ではじめた野菜づくりでは自分が食べる分すべてはおぎなえないし、お客さんとして坂ノ途中を応援したいと思って。
いざ届いた野菜を食べてみたら、めっちゃおいしかった。見たこともない野菜もあって、それはそれで「あっ! おもしろい」と思いました。ファンからスタートしたんですよね。今も取ってます。野菜セット、毎週。
イベント中、とっさに手を挙げてUターンを決めました
京都に帰りたくて転職を考えている頃、ネットで「京都移住計画」さんを見つけて、イベントに参加したんですね。そのイベントで出会った京都移住計画のスタッフさんが同じ会社出身で、相談にのってもらったことがUターンの後押しになりました。
もともとウェブ企画の仕事は好きだったから、企画の対象が自分がはまっている「農業」や「野菜」だったらもっと楽しいんじゃないか。そんなことを思いながら坂ノ途中の小野さんが登壇するイベントに足を運びました。
登壇中に「インターネットを使って、野菜の価値をお客さんに伝えつつ売っていく、というのを拡大したいです。もし京都でそういうことがしたいひとがいたら紹介してくださいねー」って、小野さんが言ったので「はい!」って、とっさに手を挙げたんですよ。今思うとよくあんな思い切ったことできたなーと思います(笑)。
小野さんとしてはそのイベントで応募者が現れるなんて思ってなかったはず。力んで手を挙げる私を見て驚いたでしょうね。実際そのときは「いったん落ち着こう」ってなだめられました(笑)。
イベントの後日、坂ノ途中以外の転職先も視野に入れて活動をしていたときに、京都移住計画さんのサイトに載る坂ノ途中の求人の取材に「今から行くんだけど来ない?」って誘われて。この部屋で小野さんの話を聞いていたんです。そのときに昔、雑誌で読んで感じた「こんな前向きに社会をよくしようとしているひとたちがいるんだ」という気持ちを改めて思い出しました。
採用条件すら確認していなかったんですがよくよく聞くと、坂ノ途中はこれからECに注力していこうというタイミングでした。私は前職でウェブの商品企画をしていたので、経験を活かせてピッタリ! となって、とんとんと入社することになりました。
「家」みたいな。家族感のあるところです
私が定期宅配を頼みはじめた頃に抱いていた坂ノ途中のイメージは、もうちょっとクールな感じ。ベンチャーですし、小野はフワッと喋るけど、経営者ですし尖っていることも言うので。元外資の金融マンがやっている農業のスタートアップって聞いたら、そんなイメージじゃないですか。
でも、いざ入社してみたら家というか、家族みたいな感じの会社だなと。
いろんな背景のひとがいる会社なので、(狩野)綾乃みたいに農大出身だとか農業系の経歴のひともいます。
小野さんの後輩(広報:倉田優香さん)もいます。
インドを放浪していたおじさん(出荷マネージャー:鈴木雅之さん)もいる。
エンジニアの田中みたいに東京で働いて帰ってきてるひともいるんです。
いろんなバックグラウンドのひとが仲良くするためには、ある種の家族感が必要だったのかなと思っていて。
もともと会社がはじまった時は人数が少なかったこともあって、長時間労働していたはずで。ずっと一緒にいたから、みんなで晩ご飯を食べる文化は残っている。
キッチンがあって料理ができる、野菜たちがたくさんある。
みんな集まって来る、鍋をつつく──そうした会社の風土があるから、「家」のような雰囲気になるのかもしれないですね。
日々の違和感に向き合ってきて「今ここにいる」感覚があります
ここまでお話したように、私は人生の大きなテーマを見つけるというよりも、日々の違和感に向き合いながら小さい選択を重ねて、居心地のよい方向へ少しづつチューニングしてきました。結果的に転職もしてるし、Uターンもしてるし、劇的に思われるかもしれないけれど。
生きてたら、いろんな違和感があるじゃないですか。弱々しい野菜が嫌なら、自分でつくろう、ひとが多いのが嫌だったら、京都に行ってみよう。
「自分は何が嫌なのか」に気づいて、モヤッとするポイントをつぶしにつぶして、今ここにいるという気持ちはあります。
私は料理が好きだったんだな、野菜を育てたいな
今はもっと野菜を売りたいですね。プライベートのことをいうと、私が住んでいる賃貸はキッチンが狭いんです。キッチンが狭いと料理しづらくて、ちょっとモヤッとする。そのおかげで「私は料理が好きだったんだな」と気がつきました。仕事で野菜を扱えるようになったけど、自分も育てたいなと思う。
料理しやすくて畑もできる、京都でももう少し田舎に引っ越そうかなと。少しずつ住む環境を変えようと思っています。
(この記事は、株式会社坂ノ途中と協働で製作する記事広告コンテンツです)
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