冬にはどんよりした曇り空。全身がちぢこまるくらいの寒さ、そして無言で振り続ける雪。日本は縦に長い国土を持っているため、一言に冬と言っても、47都道府県の冬の気候や過ごし方があるように思います。
中でも最北に位置する北海道は、雪に加えて流氷とも毎年あいまみえなければなりません。ロシアや択捉島の方から流れてきた流氷は、漁師たちの仕事の邪魔をするように、海面を浮遊していきます。
そんな冬が終わるのは、日本でも最後のほう。だいたいのところは桜の開花で春の訪れを感じるようですが、道産子の漁師たちにとって、海の氷が溶けていくのが一番の季節の便りです。
「あー、やっとうみあけだ!」
船を出せるようになってから、また漁師たちの勝負の一年が始まるのです。
お国ことば開設
うみあけ:北海道の方言で、春になり流氷が去ること。船の航行ができるようになる。