3月から始まったいわがきの出荷が、終わりました。いわがき「春香」は海士町の特産品で、僕はその現場で働きながら撮影しています。
いわがきは産卵が近付くと、あのクリーミーな濃厚さとは違う、渋みのある濃厚な味になります。そして産卵が始まると水槽は白く濁ります。いわがきの季節の終わりは、見た目と味でわかりやすく変わるのです。
こうなると出荷が終わるため、もう、来年まで生のいわがきを食べることができません。大好きだからこそ、食べられなくなって初めて、寂しい気持ちになるのです。
だけれど。季節とともにある島の暮らしは、旬の食材を食べ続けることができます。
5月はよくアジが獲れたので、なめろうや南蛮漬けが食卓によく並んでいました。今頃は「イサキがおいしい」と、よく聞きます。僕はまだ食べていないから感想は言えないけれど、島のひとがそう言うのだから、今がおいしいのでしょう。
季節は巡り、旬は連続して、いつもなにかが食べごろを迎える島暮らし。
次にやってくる旬を探しながらも、来年のいわがきをすでに恋しく思っているのでした。