『灯台もと暮らし』編集部には、これからの暮らしを考える上で知っておきたい映画・雑誌・モノ・場所……たくさんの大切にしたいコトがあります。中でも、映画『リトル・フォレスト』は、お気に入りの映画であると共に、サイトコンセプトともしっくり馴染む、きっとこれから何度も繰り返して観る映画なのだと思っています。
「生きるために食べる。」
「食べるために作る。」
「言葉はあてにならないけれど、あたしの体が感じたことなら信じられる。」
『灯台もと暮らし』読者の方であれば、きっと共感できる部分や、憧れる表現、感動する場面があると思うのです。
自然の恵みを食べて、生きる力を充電する春夏秋冬4部作の後編『冬・春』は、2015年2月14日に映画上映を開始します。
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舞台は、東北地方のとある村の中の小さな集落、小森。
主人公のいち子(橋本愛)は、一度街に出て男の人と暮らしたりもしたけれど、都会では自分の居場所を見つけられず、この村に戻ってきたのだと言います。
描かれているのは、「生きる・食べる・作る」こと。そして、春・夏・秋・冬の4つの季節。
「お腹がすいた」
「田舎暮らしがしたいと思った」
映画を見て、そんな感想を持つ方もいるでしょう。けれど、描かれているのはきっとそれだけではありません。『リトル・フォレスト』が伝えてくれるのは、命あるものの循環、生きることの内面、人と人との関わり、自分の心と戦うこと。そして、きちんと暮らすこと。
映画の魅力は、岩手県での約1年に渡るオールロケが写し出す美しい日本の里山風景と、四季の移ろいで変わる自然の姿。フードクリエイティブチーム『eatrip』が全面指揮をとる、目にも鮮やかで優しい食事の数々。
ファンにはたまらない、体当たりでの演技を思わせる主演・橋本愛をはじめとする魅惑的な登場人物、そして映画を根底から支える宮内優里の音楽と、FLOWER FLOWERの透き通る主題歌。
また、この映画を語る上で欠かせないのが、いち子の人生です。
母と娘の暮らしと葛藤、丁寧に暮らすことの裏側にある人の暮らしにまつわるストーリーが、この映画の厚みを生み出しているのだと私たちは思っています。
「私は母さんにとって、本当に家族だったろうか……」
「いち子ちゃんはひとりで一生懸命やっててすごいなと思うけど、本当は逃げてるんじゃないの」
母はなぜいち子を置いて家を出たのか?
長かった冬が終わる雪どけの季節、春いちばんに植えるはずのじゃがいもを「今年は植えないかもしれない」といち子が思った理由とは一体?
『夏・秋』編を経て、『冬・春』編で明かされる真実は何なのでしょう。
第65回ベルリン映画祭にも招待された、もとくら編集部がおすすめする映画『リトル・フォレスト』。ぜひ映画館で観ていただきたい良作です。
映画『リトル・フォレスト 冬・春予告編』
小森は東北地方のとある村の中の小さな集落です。
商店などはなく、ちょっとした買い物なら
役場のある村の中心まで出ると、農協の小さなスーパーや商店が数軒。
行きはおおむね下りなので自転車で30分くらい。
帰りはどのくらいかかるかな……
冬は雪のため徒歩になります。
のんびり1時間半でしょうか。
上映情報
映画『リトル・フォレスト 冬・春』
劇場公開日:2015年2月14日〜
監督:森 淳一
原作者:五十嵐大介『リトル・フォレスト』(講談社/月間アフタヌーン)
音楽:宮内優里
出演者:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水 洋一、桐島かれん他
製作:『リトル・フォレスト』製作委員会
映画配給会社:松竹株式会社
■『リトル・フォレスト』公式サイト