世田谷区、東急大井町線の尾山台駅から徒歩3分。閑静な住宅街にひっそりと佇む「民藝のある暮し 手しごと」は、開店から1周年を迎える企画として、5月9日(土)から24日(日)まで「初夏のガラス展」を開催していました。

次世代の民藝の担い手に焦点を当てた展示会で、どのようなガラスの品が展示されていたのでしょう? スタッフの堀田純子さんに今回の企画展に並んだ品々について教えていただきました。

堀田純子さん
スタッフの堀田純子さん

和歌山:熊野本宮ガラス

本宮ガラス
和歌山 熊野本宮ガラスのコップ

和歌山県の世界遺産、熊野本宮大社の近くに工房を構える、熊野本宮ガラス 木下穣二さんのガラスです。

木下さんは沖縄の風土に憧れて現地へ赴き、奥原硝子製造所でガラス職人として8年間修行しました。その後、故郷へ帰り工房を構え、今に至ります。沖縄で培った経験を大切にしながら、一職人として真摯に仕事に向き合う木下さん。熊野本宮ガラスはそんな木下さんの姿勢そのもの、真っ直ぐで健やかなガラスです。

福岡:太田潤手吹き硝子工房

太田潤手吹きガラス工房 丸モールピッチャー 青、白
福岡 太田潤手吹き硝子工房 丸モールピッチャー

沖縄で修行した後に独立し、実家のある福岡で工房を構えている太田潤さん。

太田潤さんの父親は小石原焼の窯元である太田哲三さん。幼い頃から工藝の世界に自然に触れていました。でも、焼きものではなく硝子を選んだ理由は、なんでも座ったままろくろを回す焼きものより、製作過程で動きまわる硝子の仕事の方が性に合っているからだとか。

憧れの小谷真三さんの「健康で無駄がなくまじめでいばらない」ガラス工藝に日々取り組んでおられます。

秋田:星耕硝子

秋田県 星耕硝子 ワイングラス
秋田 星耕硝子 ワイングラス

秋田県で農家の納屋を改装して、夫婦二人で星耕硝子という小さな工房を開いている伊藤嘉輝さん。日常で使えるコップや鉢、ピッチャーなどを製作しています。

倉敷の小谷真三さんに憧れ、一度は勤め人となるも一念発起してガラス工藝の道へ。材料から工房のつくりから、徹底して小谷さんを真似ていますが、できるものにははっきりと伊藤さんらしさが表れています。

沖縄 奥原硝子製造所

沖縄 奥原硝子 アイスクリーム入れ
沖縄 奥原硝子製造所 アイスクリーム入れ

こちらは沖縄の再生硝子のパイオニア、奥原硝子製造所の品です。沖縄というと「琉球ガラス」を想像しませんか? その原点となったのが奥原硝子製造所なのです。戦後は沖縄に駐留する米軍が、自分たちが使うためのガラスのうつわを欲しがりました。そんな彼らにグラスなどを売りたくても、資源の乏しい沖縄には原料がありませんでした。そこで米軍の捨てた空き瓶を砕いて溶かした再生ガラスでつくったのがはじまりです。

季節ごとに新しい出会いがある

「今回ご紹介した職人の多くは、まだ若いですがとても実力のある方々。亡くなったオーナー久野も大変注目していました。ですので、『手しごと』の1周年の企画展としてぜひお願いしたいと思ったのです。

季節を意識しながらご紹介するのはもちろんですが、新着品も随時入荷しています。『手しごと』にいらしていただく度に、きっと新しい出会いがあると思います。」(堀田純子さん)

初夏のガラス展

(一部写真引用:民藝のある暮し 手しごと

お店の情報

住所:東京都世田谷区等々力4-13-21 等々力市川ビル1F
TEL:03-6432-3867
営業時間:11:00〜19:00(※7月より営業時間が変わりました)
定休日:火曜日(祝日を除く)
最寄り駅:東急大井町線尾山台駅から徒歩3分
公式サイトはこちら