久しぶりに帰ってきた地元が、以前とはどこか違って見える瞬間があります。
価値がないと捨てられた身近な廃材やガラスが、宝の山になることもあります。
足元に転がっていたものの魅力に気づいた瞬間、ひとりの女性の新たな決意が、まちのあり方を変えるかもしれません――。
「琵琶湖沿いに、アトリエ・キッチン・ワークスペースを兼ねた拠点を作りたい」
そう語るのは、廃材と植物を掛けあわせたプロダクトを創る、「ハコミドリ」の周防苑子さん。
2016年2月現在、目下進行中のクラウドファンディングプロジェクト「VOID A PART(ボイド アパート)」は、彼女が夢を叶えるまでの軌跡でもあり、まちづくりの始まりでもあります。
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VOID A PARTとは
── まずは直球の質問です。VOID A PARTについて教えて下さい。
周防苑子(以下、周防) VOID A PARTは、滋賀県彦根市の琵琶湖沿いに、2016年4月にオープンする予定の新しい拠点の名前です。
周防 私のソロプロジェクトであるハコミドリの製作拠点としてだけでなく、地域に広く開かれたアトリエ、キッチンスペースや、通信環境の整ったワーキングスペースなど、今までこのエリアになかった出会い方、過ごし方ができる施設にします。
── 建設予定地は、琵琶湖がとっても近いんですねぇ……。気持ちがいいです。
周防 目の前に湖岸道路と呼ばれる大きな道路が通っていて車できやすいことと、元コンビニ跡地という広い敷地が物件の決め手でした。
また近隣に、他府県からも多くの人が訪れるほど人気の雑貨・古道具・喫茶のお店「vokko」さんや、環境にやさしい水辺のアクティビティが楽しめる「Puka Puka BIWAKO ECO SPORTS」さんがあることも、大きな理由です。
周防 その上、VOID予定地のすぐお隣は緑地公園で、多くの子ども連れの方が遊びにきます。琵琶湖は、日本で一番大きな湖で、スペックで言えば富士山と同じくらいの可能性があるのに、なんとなく活かしきれていないんじゃないか、もっとみんなに楽しんでもらえるんじゃないかと思っていました。
この場所が、クリエイターの活動拠点になると同時に、地域の方が気軽に遊びに来られる場所、県外の方が観光のついでに立ち寄れるような場所になってくれたらいいなと思っています。
現在建物は絶賛工事中なのですが、解体・内装は地元の滋賀県立大学の有志の学生さん方にご協力いただきながら進めています。
── 周防さんは、VOID A PARTを実現するにあたり、クラウドファンディングを実施中です。
周防 はい。2016年2月13日現在で、77%を達成中です。全国版FAAVOサイトでアクセス数1位をいただいたこともあり、友人・知人をはじめ、私とまったく面識のない方にも支援いただいています。毎日、メッセージや応援のお知らせが届くたびに、身が引きしまる想いです。
……とは言え、100%に達成しなければプロジェクトは失敗。せっかくいただいたこれまでのご支援金も全額返済になってしまいます。頑張らないと。正直、毎日不安で胃が痛いです……。
── が、頑張ってください…!
すべてのはじまりは、ハコミドリ
── VOID A PART構想のきっかけは、ハコミドリのアトリエを創りたいと思ったことだと伺っています。
周防 ハコミドリは、以前『灯台もと暮らし』さんに私自身を取材いただいた時にお話した通り、滋賀県の花屋で生まれ育った私が2014年にはじめた、ソロプロジェクトの名前です。
周防 ある日偶然廃材のガラスに出会い、純粋に「きれいだな」と感じました。同時に、それらが日々大量に廃棄されるしかない運命をたどっていると聞いて、「もったいない」とも。
その頃は、長い間身近すぎて見過ごしてしまっていた、植物の美しさや尊さに気が付き始めた時期でもありました。植物のことをもっと知りたくて、時間を見つけては農家さんを訪ね歩いたり。
すると、今度は絶滅危惧種の存在や、植物農園などでの後継者不足の問題に直面して……。
周防 偶然出会った廃材ガラスと、もっと知りたい、美しさを伝えたいと感じた植物とをかけあわせて、何か創作できないかと考えるようになりました。
思い立ったら、すぐ行動せずにはいられないタチでして。ガラスのカット方法や溶接などを独学で勉強しつつ、試行錯誤してたどりついたのが、ハコミドリです。
滋賀で生まれ、京都で学び、東京で就職し、家庭の事情でUターン。幼い頃から親しんできた琵琶湖沿いに、アトリエを構えることになるとは夢にも思っていませんでした。人生って不思議ですね(笑)。大変なこともありますが、今は仲間たちと毎日を全力で駆け抜けています。
VOID A PARTは誰もが主役になれる場所
── VOID A PARTオープン時には、周防さんのほかにも入居が決まっている方がいらっしゃるんですよね。
周防 はい。キッチンスペースは、出店式の玄米おにぎりとヴィーガンおやつの店「ゴマシオ堂」店主の渡辺未央さんにお願いします。
周防 ブックセレクトは、彦根市内の古本屋「半月舎」さんに。
- 参考:半月舎
周防 同じく彦根市内の人気店「花好mokume」さんには、大物の観葉植物の委託販売をしていただく予定です。
周防 そして私が、ハコミドリのアトリエを構えます。
── ほかにも、希望者の方が出てきた場合は、入居というか、一緒にアトリエを構えたり、委託販売をお願いしたりすることもできるのでしょうか?
周防 はい。さすがに誰でもすぐに、というのは難しいかもしれませんが、もちろん可能です。
私はもともと1人では何もできないので。共感してくださった方や、興味を持っていただいた方は、ぜひ何かご一緒させていただきたいなと思っています。
── ……例えばですけれど、灯台もと暮らし編集部が出張所をVOID A PART内に構える、といったことも可能なのでしょうか?
周防 不可能ではないと思います(笑)。
多種多様な人が集い、ここから何かが生まれる場所へ
── お話を聞いているだけで、わくわくしてくる空間です。VOID A PARTの完成が待ち遠しいですね。
周防 物件は改装を進めていますが、クラウドファンディングは実施中で、達成までもう少し。お話してきたことは、まだ構想段階です。いろいろと夢を広げてしまいがちですが、まずは足元を固めて、一歩一歩進んでいくことが大切だと思っています。
── VOID A PARTの完成はもちろんですが、「ハコミドリ」の発展も、私たちは願っています。
周防 ありがとうございます。これからもいろいろな人に助けていただきながら、刺激を受けて、学んで、より誰かの心に響くものを創ります。
クラウドファンディングの支援プランの中には、ハコミドリをお贈りするものもあるので、1人ひとりの方にお手紙を添えて、心を込めて創ります。
琵琶湖近くまで来たら、ぜひ遊びにきてください。いつの日か、VOID A PARTが観光スポットになれるくらいまで大きくなってくれたらいいなぁ。
── 周防さんと仲間たちの、夢の最初の一歩ですね。
周防 はい! クラウドファンディング終了まであと40日(2016年2月13日現在)。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
(この記事は、FAAVO・VOID A PARTと協働で製作する応援型記事広告コンテンツです)
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お話をうかがったひと
周防苑子(すおう そのこ)
1988年 滋賀の生花店に生まれ、幼い頃から植物に囲まれた日々を送る。学生時代を京都、会社員時代を東京で過ごし、2014年夏 帰郷後、実家生花店で働き始める。2014年11月、ソロプロジェクトとして「ハコミドリ」設立。家屋解体時の廃ガラスを自身で再加工したハコをはじめ、様々な空間にミドリを入れて提案。2016年春より、滋賀県湖岸にアトリエを構え、更なる活動を計画中。
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